テレビ東京が報道番組「週刊ニュース新書」の番組制作の為に平成23年6月17日13時頃のインタビューにおいて、甘利明氏(現・自民政調会長)に
原発事故の危険性を安倍政権に問うた「質問主意書」を見せた所、取材を中断させ、記者を執務室に呼び、取材記録を消す様に要請した。
それについてインタビューしたテレビ東京の記者阿部欣司(37)さんが途中からの録画は映さないとしたが、中座した姿を編集し、同年6月18日に放映した。
それについて、甘利氏側は訂正放送を求め、テレビ東京は平成23年6月25日の「週刊ニュース新書」の番組内で訂正放送を流したが、さらに訂正放送とHPでの謝罪広告を求めた。
それに対してテレビ東京が拒否した所、テレビ東京と取材した記者三名に謝罪広告と損害賠償請求を起こしたのが裁判の経緯である。(賠償金額は合算で1100万円)

阿部記者が局でこの取材ビデオについて検討し、編集したものが
http://www.youtube.com/watch?v=UsMWbuwU93w

であり、それについて2012年8月28日の裁判で原告代理人である橋爪雄彦氏が被告であるテレビ東京の記者、阿部欣司さんを尋問したのが今回の傍聴記です。(裁判は2011年10月11日から始まり2012年8月28日で八回目、弁論は第二回目となります)以下橋爪雄彦氏は「橋爪弁護士」とし阿部欣司さんは「阿部記者」とします。
同番組放送内で甘利議員がインタビューを中断させた事をナレーションとテロップで「取材は中断となりました」と説明した事への、尋問です。

40分程の度長い尋問でしたが、主要な部分を書き出します。

橋爪弁護士「あなたが本件VTRの編集をした動機は甘利が都合悪くなって中途退席したというとこを見せたくて、それを視聴者に無責任だという事を訴えたくて編集したんじゃないですか?」

阿部記者「結果として逃げ出したわけですから。それは、事実です!結果としては事実を伝えたと、でも最初から逃げていくだけを映そうなんて、そいういうふうに、判断するわけがない。だって本当は全部出したかったんです」

橋爪弁護士「あなたご自身の陳述書で書かれている訳だから、そこはお認めになってもいいと思うんだけど、逃げたかどうかというのはあなたのご認識なんでしょう、が甘利さんの方を聞いていると、本件主意書に要するに津波による電源喪失というのはないにも係らず、あなたが津波についての質問をしたのでそれは違うんじゃないかと、さっき(甘利さんは)ここで陳述をしていましたが、あなたがそのように誤解していたから困惑してとなりの部屋に行ってお話したのと違いますか」

__中略__

橋爪弁護士「どうもあなたの言う事を聞いてるとやり取りの部分だけに限ったというんですけど、ようするに後々この本件放送を見てると本件質問主意書を示した場面をさして甘利は逃げたというナレーションをおっかぶせる訳ですよね。この事ははなから意図してやり取りの部分だけという事で甘利を簡単に言うと誤魔化しちゃおうというふうに思ったんですか?」

阿部記者「私はその申し出(取材ビデオを流すなという事)を守るという事だけは、しっかり最後まで貫き通そうという事は意識しました。そのやり取りは最後までやっぱり使いませんでした。
ただ私が記者として感じた事。伝えなきゃならんこと、そしてそれはその事実、それはどういう風に表現すればいいのか、先ほども申し上げましたけれども、甘利氏の無責任極まりない対応、考え、それをそれをどう伝えれば良いのかやり取りに含まれていますよ、そのやり取りは使えない」

阿部記者「じゃあ何ができるんだと、ずーっと考えて考えて、結果、誰の約束、つまり甘利さんの言う約束、申し出も、あと上司との取り決めも破らない形は何かと、考えた時に甘利さんへのインタビューのやり取りは落とした。けれどもその都合の悪いインタビューを、いわゆる中座したと。中断したという事実に関しては伝えようと」

阿部記者「つまり原発政策について甘利さんと、言ってみれば自民党も含めてですけれど、それについて非があった、まずかったと認めざるを得ないんだというような視点、それがいわゆる空席の椅子に表れている訳ですから。それを示そうとという事で最後の最後と言いますが、かなり悩んで考えた結果があの内容です」

橋爪弁護士「あなたは原告が無責任にもインタビューから、訂正放送も見れば判るように、あなたの質問自体が津波による電源喪失よる可能性はないにも係らず、それがあるかのような前提をしていたから原告は不審に思ってインタビューを中断したのと違いますか」

阿部記者「実際、テープをご覧になって頂ければ判ると思いますけれども、私が津波によって、というような質問はしていません。甘利さんが津波、津波と津波の話を持ち出されてきている訳ですから」

以上傍聴録終わり。

原告、甘利明氏へのインタビューの経緯

阿部記者の陳述書より一部抜粋。()内は話を判り易くする為に私が書き足したものです。
____________________________________________
本件コーナーを制作するにあたり、日本の原発政策等、全般、およそ半世紀に渡り担って来た自民党に話を聞く必要があると感じていました。

スタジオには自民党副総裁、大島理森氏を招き、自民党を代表してこれまで、とこれからの原発政策についてお話を伺うつもりでした。
VTRでは過去の原発事故に対応してきた自民党の閣僚経験者達にインタビューをし、その経験や現在の福島第一原発事故に対する認識、反省、そして今後の原発政策のあるべき姿などを伺い、VTRを通してスタジオの大島副総裁と議論するような事を考えていました。

原告は原発政策を推進してきた自民党所属の議員であり、通産政務次官や自民党エネルギー戦略合同部会長を勤める等、政権与党の原発推進派の有力議員として原発政策に深くかかわって来ていまして、
平成18年9月から、平成19年7月16日に発生した中越地震の際の柏崎刈羽原発の事故には原告は大臣の立場で対応し、柏崎刈羽原発だけでなく全国の原発に対して安全対策を強化するよう全事業者らに行政指導しました。
そうした、実績をふまえると、原告のインタビューは本コーナー(週刊ニュース新書)の趣旨に合致すると考えたのです。

私は原発の安全性について国民的関心が高まる中、原告は政治家として責任ある発言をしてくれるだろうと期待し平成23年6月16日FAXで(取材を)依頼したところ原告は引き受けてくれました。

福島原発事故の責任を追求するというよりも反省を促し、今後の原発政策の在り方を問う趣旨のものでしたので私は自民党やまして原告個人の責任を追求するつもりなどありませんでした。

ですので、それ以上話しを進めずに次に「今後の原発政策のあるべき姿」について質問しようと思い、「これからの事ですけど、あのー」と、突然、原告は「ちょっと待って下さい」と、隣の別室へ行きました。

__________________________________________

以上陳述書の抜粋終わり。

まだ取材は続きます。
今日関係者に取材したところ、テレビ東京とその記者三名が被告になっていますので損害賠償請求は、記者本人にも行く可能性が高い、との事でした。