2012年8月28日、東京地裁103号法廷で開かれた甘利明氏が原告の名誉毀損裁判。
訴えられたのはテレビ東京とその記者三名。
テレビ東京の番組「週刊ニュース新書」で安倍政権時代の原発災害への備えについて、テレビ東京記者、阿部欣司(36)さんが質問したところ「地震の備えの指摘はあったが津波の備えへの指摘はなかった」と答え、それについて共産党の吉井英勝氏が2006年に出した「質問主意書」には地震、津波による電源喪失で原子炉が冷やせなくなる
危険性が指摘されており、甘利氏が経産大臣を勤めていた安倍政権にそれが出されていたと阿部記者が伝えたところ、甘利氏が黙り込んで別室(執務室)に消えた。
それについてテレビ東京が「取材は中断となりました」と放映した事について、「名誉を毀損された」としての裁判でした。
今回は白熱した原告対被告の弁論で、甘利氏の問題の「日本なんてどうなったっていい」と発言した事を阿部記者が法廷で証言した場面の傍聴録です。
幾度かこのサイトで報告して来ましたが、裁判資料と合わせて、正確な物です。
__甘利議員はテープを消す事を求める理由について、どのような話をしましたか?__
阿部「つまりこれは、もう私に責任を押し付けるものだと、こんな物が放送されたら私はかなわないと。私に責任はないと。だから認めないと。放送は認めない。だからテープを消せ、と言ってきました」
__執務室のあなたと甘利議員のやりとりはどの程度続いたのですか__
阿部「30分から40分程度続きました」
__その間、甘利議員はあなたに対してどう言う事を言ってきたんですか__
阿部「つまり福島第一原発の事故はこれは私に責任を押し付けるようなものだと、私に責任などないとはっきりおっしゃいました。当時の質問主意書とまたその答弁書については閣議前僅か2分程度閣僚から説明を受けるだけだと。そこで話なんか判るわけないじゃないかと。ましてや大臣にそんな権限はないだろうと」
阿部「全ては安全の指針を作るのは内閣府の原子力安全委員会であって経済産業省はその指示を受けて伝えているだけだと。なんでそれに俺に責任があるんだと。この責任をまたおしつけられたら、それはどうなると。私の政治生命は終わると」
阿部「さらに私には家族がいる。そして事務所スタッフもいると。そんなものを放送されたらたまらないと。それで一連のとにかく私には責任はないとという趣旨の事をおっしゃっていて、さいごにはもう日本なんてどうなったっていいんだと。今冷静に原発の議論なんかできないんだと。
こう言って私に恫喝口調で言って来て、とにかく、責任はない。そういう事は認めない。テープを消せという話で一貫していました」
__あなたは福島第一原発の被災地を訪れた事があるのですよね__
阿部「はい」
__それらの方たち、その被災地の方との関係ではどういうふうに思いましたか__
阿部「被災地の方々、特に福島では数々の方が家や故郷を失っているような状態に追いやられていると
そういう方達は国が、つまり政治が安全を担保してくれているから原発を受け入れたんだと。
にも係らずこんな状態になってしまったんだと」
阿部「私たちの故郷はどうすれば良いんだと。言う声を直前に聞いてる訳です。ですからその人達の気持ちを思うとこういう人が原発行政のトップを担っていたんだという事を感じた時には大変許せない気持ちになりました」
傍聴録終わり。