2015年4月30日、上杉隆さんが池田信夫さんを名誉毀損で提訴、それについて判決が出た後にお互いが控訴してる裁判の証人尋問調書を東京高裁で閲覧して来ました。
ごく簡単にまとめました。(訴状に書かれ、尋問調書には記載されてない内容を示す文章などは省き、問題になった上杉氏や池田信夫氏の主張を書き出しました。)
平成27年(ネ)2010 19民事部。 東京高裁
内容は経済評論家の池田信夫氏が2012年10月12日にブログで「読売の記事を盗用した上杉隆氏」としたタイトルで読売新聞が2011年3月19日に新聞紙面とWebに出した各国大使館避難警告状況のデータグラフ図表をそのまま上杉隆氏がコピペして使った、と指摘した事によるものの、上杉氏が原告、池田氏が被告となった名誉毀損裁判です。
池田氏はこれについて反訴しましたので、双方が被告原告となっています。(地裁では双方に50万の賠償支払命令、池田氏にはさらにブログを削除するよう判決が出ました)
証人D氏の尋問。
D氏は上杉氏に震災時に大使館の避難警告状況のデータグラフ図表を送った事は認めた。
そしてそれは複雑な経路でD氏に送られた物であり、それが読売新聞のデータグラフ図表と酷似、または同じ物であったという事は当時知らなかったという。
原告の上杉隆氏の 尋問 経歴詐称疑惑から
裁判官「NHKでは記者やディレクターといういわゆるジャーナリストのような職種で仕事していた訳じゃないという事ですか」
上杉「記者やディレクターのような職種に近い仕事をしておりました」
裁判官「正社員として記者やディレクターで働いていた訳ではない、そういう事ですね」
上杉「はい」
中略
裁判官「著者調べというふうになっていますね」
上杉氏「はい」
裁判官「何故ですか」
上杉「出版された方だったらご存知のはずなんですが表とかグラフというのは編集者の仕事でありまして、私自身は内容についてのチェックと言う事に当時は全力を尽くしておりましたのでお恥ずかしながらこの部分のチェックが漏れておりまして私自身が作成した物ではございません」
裁判官「2012年10月頃になった後の出来事について質問して行きます。2012年の10月12日、池田さんの方から『読売の記事を盗用した上杉隆氏』という記事が発表されましたね」
上杉氏「はい」
裁判官「この記事が出る前に池田さんからあなた対して取材がありましたか?」
上杉氏「一切ありません」
裁判官「読売新聞の盗用だと言われましたが、あなたはまず、どういうふうにしましたか?」
上杉「数名の知人から一斉に連絡が入り、それを確認しました。驚きました。読売の記事自体もその時存在することすら知らなかったので非常に驚いたという記憶があります」
中略
裁判官「読売の記事と自分の記事リストが一文字一句全て一致しているという事は確認しましたか?」
上杉「一文字一句というか、一緒の情報源だと言う事は確認しました」
裁判官「問題になっている読売の記事がWebで配信されたものと新聞で発売されたものと2つあるという事は解っていましたか」
上杉「知りませんでした」
中略
裁判官「本訴について最後にあなたは盗用疑惑という事の指摘を受けて色々ご自身でも調査されていたと言う事ですけれども、結果的にあなたが使った記事というのは読売新聞記事が元となっていたんですか」
上杉氏「違うと思います。解らないというのが正直な答えです」
裁判官「 解らないというのは自分でその点についてお調べになってないということですか?」
上杉氏「調べた結果、最終的には解らない、というのが正直な答えです」
裁判官「読売新聞の記事ではなかったんだとするとどういった可能性があると言う事ですか」
上杉氏「その後の取材で可能性として考えられる点はインターネット上あるいは第三者のソースを読売新聞、そして、まあ結果として出口さんが同時にそれを使い、その出口さん経由で私のもとにあったという事を今現在想定しています。」
裁判官「D氏関係者の方がコピーしたという事ではなかったかもしれないと言う風にお考えだと言う事ですか」
上杉氏 「はいそうです」
裁判官「その身内の方が読売の記事をコピーした可能性もあると思いますか。」
上杉氏「もし、そうだとしたら読売新聞が私に対して数年間の間、何らかのアプローチして、うちのを盗用したよと言ってくれるかなと思っていました。
その後何度も読売新聞には確認していますが、一切ないという事を見ると、読売新聞の方も出所がハッキリしていないんじゃないかと、そういう風に理解しています。」
最後に、上杉氏は裁判官から「読売新聞に問い合わせた答えは」と聞かれましたが「調べますと言われ、それが最後でした」と返答については言葉を濁しました。
池田信夫氏尋問
裁判官「上杉隆の検証、このサイト、Wikiと言って誰でも編集できるのですよね」
池田「そうです」
裁判官「それでこのWikiというのは上杉さんに対して批判的な立場からのまとめをしていると、つまり上杉さんに対して敵対的な意見がまとまってる、そういうサイトじゃないですか」
池田「知りません」
裁判官「このWikiの情報は2チャンネルの掲示板の情報をまとめてるという事はご存知でしょう」
池田「知りません」
裁判官「あなたは2チャンネルの掲示板は見ていますか」
池田「見ていません」
略
裁判官「あなたが参考にしたのはこのWikiにまとめたやつなんでしょう」
池田「そうです」
裁判官「Wikiにまとめた奴のもともとの2チャンネルというのは見ないの」
池田「見てません」
略
裁判官「『読売新聞の記事を盗用した上杉隆氏』これはあなたが先ほど示した記事ですね、これを書く前に読売新聞に確認はしたんですか」
池田「書いた後にしました」
裁判官「後じゃなくて書く前にしましたか」
池田「前にはしていません」
裁判官「してないんですね、その必要はなかったんですか」
池田「はい」
裁判官「どうしてですか」
池田「明白だからです。そこに「著者調べ」なんて書いてありますから虚偽が明白です」
裁判官「読売読者センターに問い合せしたんですか」
池田「はい、読者センターの窓口です。読者センターの窓口はこの件については知っていて、(略)社会部だったか何部だったか忘れたけど、担当出稿部に問い合せますと言う事で、僕の方に折り返し電話が来て。
それに、さっき申し上げたように読売新聞の記事がこういう重要な情報でクレジットが入っていない合は全て読売新聞の調べてあると。これは読売新聞の記事作成法に基づくものであって例外は無いという答えでした」
__了__
池田氏は裁判官に「上杉隆の検証」は見たが、「2チャンネル」は見ていません。
と証言しています。
ですので、池田氏が上杉氏の盗用は2チャンネルがソースと答えて裁判官が呆れた、というブログ情報やTwitterでの拡散がありましたが、どうも事実とは異なるようです。
証人尋問調書には、確かに池田氏は2チャンネルを「見てません」と答えています。
ざっと証人尋問調書を見た率直な感想ですが、「D氏の提供したデータグラフ図表」がとても複雑な経路で上杉氏の元に行った事、とD氏も上杉氏もそのデータグラフ図表のソースを確認していない事、上杉氏は結局は図表そのものは自分が作成した物ではない事を認めています。
ではこの日の尋問で読売と瓜二つの図表は読売から流用、剽窃したのかが解ったのか、と言うと上杉氏は「読売から何も言って来ないので盗用では無いし、同じ図表になった原因は図表を作った第三者が居てそれを読売が使ったのではないか」と申し立てた事により、池田氏がブログで指摘した「読売の記事を盗用した」が真実であったかどうか、曖昧なまま終了したようです。
また、お互いが原告被告となった上杉氏と池田氏ですが、上杉氏が裁判官に非常に丁重な姿勢で訴求している事に対して、池田氏は裁判官に(失礼な表現ではあるのですが)「横柄」に接しているように見えました。
裁判官に向かって「なんでそんな事理解しなきゃいけないんですか」「知りません」「見てません」
等の基本「ため口」であり、こういう物言いを裁判官にする人を民事で今迄見た事が無かったので驚きました。高裁でまた証人尋問があるとしたら、池田氏の有利な判決の為に、この態度を改めた方が良いと思いました。
上杉氏に関しては「全面勝訴宣言」したにも係らず、何故控訴するに至ったのか、図表が自作の物では無いのに、著者調べとしたのか、震災当時の報道チェックについて、Twitterユーザーに説明した方が良いと思いました。
また訴状や調書を閲覧する事があれば書き足して行きます。
ごく簡単にまとめました。(訴状に書かれ、尋問調書には記載されてない内容を示す文章などは省き、問題になった上杉氏や池田信夫氏の主張を書き出しました。)
平成27年(ネ)2010 19民事部。 東京高裁
内容は経済評論家の池田信夫氏が2012年10月12日にブログで「読売の記事を盗用した上杉隆氏」としたタイトルで読売新聞が2011年3月19日に新聞紙面とWebに出した各国大使館避難警告状況のデータグラフ図表をそのまま上杉隆氏がコピペして使った、と指摘した事によるものの、上杉氏が原告、池田氏が被告となった名誉毀損裁判です。
池田氏はこれについて反訴しましたので、双方が被告原告となっています。(地裁では双方に50万の賠償支払命令、池田氏にはさらにブログを削除するよう判決が出ました)
証人D氏の尋問。
D氏は上杉氏に震災時に大使館の避難警告状況のデータグラフ図表を送った事は認めた。
そしてそれは複雑な経路でD氏に送られた物であり、それが読売新聞のデータグラフ図表と酷似、または同じ物であったという事は当時知らなかったという。
原告の上杉隆氏の 尋問 経歴詐称疑惑から
裁判官「NHKでは記者やディレクターといういわゆるジャーナリストのような職種で仕事していた訳じゃないという事ですか」
上杉「記者やディレクターのような職種に近い仕事をしておりました」
裁判官「正社員として記者やディレクターで働いていた訳ではない、そういう事ですね」
上杉「はい」
中略
裁判官「著者調べというふうになっていますね」
上杉氏「はい」
裁判官「何故ですか」
上杉「出版された方だったらご存知のはずなんですが表とかグラフというのは編集者の仕事でありまして、私自身は内容についてのチェックと言う事に当時は全力を尽くしておりましたのでお恥ずかしながらこの部分のチェックが漏れておりまして私自身が作成した物ではございません」
裁判官「2012年10月頃になった後の出来事について質問して行きます。2012年の10月12日、池田さんの方から『読売の記事を盗用した上杉隆氏』という記事が発表されましたね」
上杉氏「はい」
裁判官「この記事が出る前に池田さんからあなた対して取材がありましたか?」
上杉氏「一切ありません」
裁判官「読売新聞の盗用だと言われましたが、あなたはまず、どういうふうにしましたか?」
上杉「数名の知人から一斉に連絡が入り、それを確認しました。驚きました。読売の記事自体もその時存在することすら知らなかったので非常に驚いたという記憶があります」
中略
裁判官「読売の記事と自分の記事リストが一文字一句全て一致しているという事は確認しましたか?」
上杉「一文字一句というか、一緒の情報源だと言う事は確認しました」
裁判官「問題になっている読売の記事がWebで配信されたものと新聞で発売されたものと2つあるという事は解っていましたか」
上杉「知りませんでした」
中略
裁判官「本訴について最後にあなたは盗用疑惑という事の指摘を受けて色々ご自身でも調査されていたと言う事ですけれども、結果的にあなたが使った記事というのは読売新聞記事が元となっていたんですか」
上杉氏「違うと思います。解らないというのが正直な答えです」
裁判官「 解らないというのは自分でその点についてお調べになってないということですか?」
上杉氏「調べた結果、最終的には解らない、というのが正直な答えです」
裁判官「読売新聞の記事ではなかったんだとするとどういった可能性があると言う事ですか」
上杉氏「その後の取材で可能性として考えられる点はインターネット上あるいは第三者のソースを読売新聞、そして、まあ結果として出口さんが同時にそれを使い、その出口さん経由で私のもとにあったという事を今現在想定しています。」
裁判官「D氏関係者の方がコピーしたという事ではなかったかもしれないと言う風にお考えだと言う事ですか」
上杉氏 「はいそうです」
裁判官「その身内の方が読売の記事をコピーした可能性もあると思いますか。」
上杉氏「もし、そうだとしたら読売新聞が私に対して数年間の間、何らかのアプローチして、うちのを盗用したよと言ってくれるかなと思っていました。
その後何度も読売新聞には確認していますが、一切ないという事を見ると、読売新聞の方も出所がハッキリしていないんじゃないかと、そういう風に理解しています。」
最後に、上杉氏は裁判官から「読売新聞に問い合わせた答えは」と聞かれましたが「調べますと言われ、それが最後でした」と返答については言葉を濁しました。
池田信夫氏尋問
裁判官「上杉隆の検証、このサイト、Wikiと言って誰でも編集できるのですよね」
池田「そうです」
裁判官「それでこのWikiというのは上杉さんに対して批判的な立場からのまとめをしていると、つまり上杉さんに対して敵対的な意見がまとまってる、そういうサイトじゃないですか」
池田「知りません」
裁判官「このWikiの情報は2チャンネルの掲示板の情報をまとめてるという事はご存知でしょう」
池田「知りません」
裁判官「あなたは2チャンネルの掲示板は見ていますか」
池田「見ていません」
略
裁判官「あなたが参考にしたのはこのWikiにまとめたやつなんでしょう」
池田「そうです」
裁判官「Wikiにまとめた奴のもともとの2チャンネルというのは見ないの」
池田「見てません」
略
裁判官「『読売新聞の記事を盗用した上杉隆氏』これはあなたが先ほど示した記事ですね、これを書く前に読売新聞に確認はしたんですか」
池田「書いた後にしました」
裁判官「後じゃなくて書く前にしましたか」
池田「前にはしていません」
裁判官「してないんですね、その必要はなかったんですか」
池田「はい」
裁判官「どうしてですか」
池田「明白だからです。そこに「著者調べ」なんて書いてありますから虚偽が明白です」
裁判官「読売読者センターに問い合せしたんですか」
池田「はい、読者センターの窓口です。読者センターの窓口はこの件については知っていて、(略)社会部だったか何部だったか忘れたけど、担当出稿部に問い合せますと言う事で、僕の方に折り返し電話が来て。
それに、さっき申し上げたように読売新聞の記事がこういう重要な情報でクレジットが入っていない合は全て読売新聞の調べてあると。これは読売新聞の記事作成法に基づくものであって例外は無いという答えでした」
__了__
池田氏は裁判官に「上杉隆の検証」は見たが、「2チャンネル」は見ていません。
と証言しています。
ですので、池田氏が上杉氏の盗用は2チャンネルがソースと答えて裁判官が呆れた、というブログ情報やTwitterでの拡散がありましたが、どうも事実とは異なるようです。
証人尋問調書には、確かに池田氏は2チャンネルを「見てません」と答えています。
ざっと証人尋問調書を見た率直な感想ですが、「D氏の提供したデータグラフ図表」がとても複雑な経路で上杉氏の元に行った事、とD氏も上杉氏もそのデータグラフ図表のソースを確認していない事、上杉氏は結局は図表そのものは自分が作成した物ではない事を認めています。
ではこの日の尋問で読売と瓜二つの図表は読売から流用、剽窃したのかが解ったのか、と言うと上杉氏は「読売から何も言って来ないので盗用では無いし、同じ図表になった原因は図表を作った第三者が居てそれを読売が使ったのではないか」と申し立てた事により、池田氏がブログで指摘した「読売の記事を盗用した」が真実であったかどうか、曖昧なまま終了したようです。
また、お互いが原告被告となった上杉氏と池田氏ですが、上杉氏が裁判官に非常に丁重な姿勢で訴求している事に対して、池田氏は裁判官に(失礼な表現ではあるのですが)「横柄」に接しているように見えました。
裁判官に向かって「なんでそんな事理解しなきゃいけないんですか」「知りません」「見てません」
等の基本「ため口」であり、こういう物言いを裁判官にする人を民事で今迄見た事が無かったので驚きました。高裁でまた証人尋問があるとしたら、池田氏の有利な判決の為に、この態度を改めた方が良いと思いました。
上杉氏に関しては「全面勝訴宣言」したにも係らず、何故控訴するに至ったのか、図表が自作の物では無いのに、著者調べとしたのか、震災当時の報道チェックについて、Twitterユーザーに説明した方が良いと思いました。
また訴状や調書を閲覧する事があれば書き足して行きます。