2013年1月29日に東京地裁で行なわれた甘利明氏がテレビ東京とその記者三名を名誉毀損で訴えた裁判で都築政則裁判長は甘利氏側の訴えを一部認める判決を下し、330万円の損害賠償金をテレビ東京社長と取材記者A氏に連帯で支払う事を命じました。

 裁判内容はテレビ東京が2011年6月18日に放送した「
田勢康弘の週刊ニュース新書」の番組で甘利明氏を取材し、その取材の場から姿を消した場面を約束を破って放映した事で甘利氏の名誉が毀損されたという主張を認めるものでした。

 放送内容は当時与党であった自民党の政権担当時代での原発行政責任と2011年3月11日に起きた福島第一原子力発電所の原発事故の責任を検証しようと言うもの。

 番組内ではA記者が当時の安倍政権時代に甘利氏が経産大臣だった時に原発事故の予測は出来たか質問し、それに対して甘利氏は「地震に備えよ、とは言われていたが、津波に備えよとは言われていなかった」と答えたところに、A記者が2006年12月13日に共産党の吉井英勝議員が安倍政権に突きつけた「巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書」を出し、「津波による送電線の倒壊等で電源を喪失する事によって炉芯を冷やせなくなったりする事への危険性を示されていた事」を告げると答えに窮してしまって別室へ姿を消した。

 番組では甘利氏が取材を中断させて別室に籠った事をナレーションで流し、さらに空席になった場面を映した。

 甘利氏は取材を中断した以降の場面は映さないでくれと頼んでいたが、番組は放映した。
その事が名誉毀損に当たるとして、テレビ東京のHPで謝罪広告、当該テレビ番組で謝罪放送を要求、また精神的な被害による損害賠償金額は総額で1100万円を請求。
判決では謝罪広告は認められなかったが、名誉毀損の賠償金額としては高額の330万円の支払いが
テレビ東京社長とA記者に命じられ、甘利氏側の勝訴となった。

 甘利明氏の事務所へ裁判の感想を尋ねたところ、FAXの回答を得た。
「本日、東京地裁がテレビ東京に対し甘利に慰謝料等330万円を支払えと命じる判決がありました。
テレビ東京が事実に反することを知りながらあえて嘘の編集をし、番組の悪質性を認定した原告の主張の大半が認められました。 なお、一部認められなかった点については弁護士とも相談したいと思います。以上」

 甘利氏側が判決内容を不服として控訴する可能性が出て来た。テレビ東京の広報に裁判結果について
今後の対応を尋ねたところ「判決文を良く読んで、対応を考えたいと思います」という答えに留まった。

 甘利氏側は裁判中も判決後も強気の姿勢を崩していない。
対してテレビ東京側は報道機関としてニュース番組の内容で政治家に訴えられていると言うのに公式見解も記者発表もない。社長も名指しで損害賠償を命じられたのだから、せめてコメントを発表してほしいものだが...

  また、報道の自由を標榜するフリーランス、スラップ訴訟の被害記者達も何故かこの裁判には関心が薄いのも一環して謎だ。
今後もテレビ東京、甘利明大臣にも取材を申し込み、成り行きを注目して行きます。

@irakusa