【公の場での写真無断流用】

 2015年9月1日五輪組織委員会の事務総長、武藤敏郎氏がベルギーのリエージュ劇場ロゴ盗作疑惑に揺れる佐野研二郎氏(多摩美術大学教授)がデザインした五輪エンブレムを取り下げ新たに公募する事を記者会見で発表しました。 「一般国民の理解を得られない」

 記者会見では8月28日まではリエージュ劇場のロゴとはコンセプトも違い、全く関係なく問題が無いとしていたが、7月27日の記者会見で展開例として出されたポスターに個人ブログの写真が無断で使われた事が解り、プレゼン段階ではなく公の場で使用された事に問題があるとされました。

 まずここで個人ブログの写真無断流用が発覚しました。(著作権法違反)

【アーティストが美術展を観に行ったが覚えてないは通用しない】

 美術を学ぶ学生は美術展鑑賞は課題に入っています。
鑑賞券の優遇もあり、美大生はせっせと美術館、画廊に足を運びます。
観るだけではなく、レポート提出も義務づけられています。
美学生にとって美術鑑賞は課題授業なのです。
ましてデザインを生業にしている人が「美術鑑賞して覚えてない」なんてあり得ないです。


【デザインの違いを国民は理解しないのが問題ではない】

 この日の記者会見では「佐野研二郎氏のデザインが模倣ではないと専門家の間では判断されたが、一般の国民には解りにくいですね、と言う話しになりました」としていますが、問題の起点は「佐野氏エンブレムが国民の理解を得られない」からネットで批判が高まったのではなく、ベルギーのリエージュ美術館のロゴと似ている、盗作されたと訴えている人が存在して、実際にその作品が佐野氏エンブレムに酷似しているから騒ぎになったのです。
「被害を訴えている人が存在している事」それをスルーする訳ですから問題の根本的解決にはなりません。あくまでも問題は「国民の無理解」に持って行く事なかれ主義には驚くばかりです。