まさか東スポを褒める日が来るとは夢にも思いませんでした。
「東スポは日付だけが真実」と言われて久しいが、今回の「佐野氏エンブレム取り下げ問題」に関してはキラリと光る報道を展開している。

 2015年9月3日の東スポ(東京スポーツ新聞社)で取り下げが決まった「佐野エンブレム撤回問題」似ついて、取り上げてる。
「怪と闇」「賠償問題回避か」とタイトル。
国民の間で揺れに揺れたこの問題を徹底追及する構えだ。

 2015年9月1日に五輪組織委員会の事務総長、武藤敏郎が「盗作ではないが、国民の理解を得られない」として公式エンブレムの取り下げが決定した「佐野エンブレム」事実上の撤回で新デザインの公募が急がれる。その根本的問題として「組織委が幕引き急ぐ裏に・・・」はデザインの権利を主張するドビ氏に裁判で負けた時の莫大な賠償金の回避と「疑惑の選考過程」があるとしている。選考課程問題は大阪芸術大学の純丘曜彰教授に取材し、問題点を聞き出している。

 「盗用が発覚した場合の危機意識が欠如している。この業界にはなれ合いが横行していて、審査員の顔ぶれが一緒だったりいわゆるデキレースのようなものもある。組織委が幕引きを急ぐのも当たり前で、選考過程がバレたらシャレにならないからだろう」(署名 種井一司)

 また2面でも1日に行われた武藤事務総長が会見で「エンブレム撤回理由について「一般国民が理解しないのが撤回の理由だ」としたことについて「暴言」と切って捨てた。
この日の記者会見で「国民とは誰か?」と質問したのは東スポの記者だったそうだ。

 大手新聞が形通りの報道発表記事に終始したこの問題について、積極的に切り込み、エンブレム撤回騒動の真相を追及したのには拍手を送りたい。
また日刊スポーツ紙もコンペ応募者に取材し、「佐野ありきの選考」だったのではないかという読者の疑問に答えた秀逸な記事を公開した。

 日刊ゲンダイも精力的にこの問題を取り上げた。
美術界のタブーに食い込む良記事を量産するのがスポーツ紙というのも不思議な話しだが、「権威主義」や「因習」に負けない反骨精神があり、プロレス団体の醜聞追跡などに慣れている「スポーツ紙」が面目躍如した形だ。
またネット民の捜索網などを偏見の目で見ない庶民的指向も疑惑を見逃さない視点を持ち、効果的に作用したのだろう。市民声とともに生きるスタンド売り媒体の特徴が生かされた今回の疑義追及だった。