内閣府と文科省が発行した高校生への保健体育の授業に使う副読本「女性の妊娠しやすさと年齢」で妊娠しやすい年齢を示すグラフの傾きに誤りがあることがTwitterユーザーの指摘から解った。

 副読本を発行した文科省は誤りを認め、正誤表を配布する事が決定した。


http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2015/08/17/1360938_09.pdf
より健やかな妊娠・出産のためにの図表


55)


 に対してのTwitterユーザーからの疑義。@segawashin 
 
55)

23)
27)
 赤い方が文科省のグラフですね。傾き加減がかなり違います。
元論文と比べると20−25歳までの間で緩く妊孕力(読み・にんようりょく)(意味・妊娠しやすさ)(同義語に妊孕性もある。)
を示していますが、25から30歳、35から40歳と急勾配の傾きです。


慶応大学 名誉教授 吉村泰典博士の「女性のからだと卵子の老化」より
 http://www.kenko-kenbi.or.jp/uploads/20150304_yoshimura.pdf


34)



 こちらのほうはまだ緩やかですね。この図表を内閣府に渡したのは吉村泰典博士でしょうか。
図表が渡った経緯を確かめるために文科省と内閣府に電話してみました。
それによると、グラフが渡った順番は「有識者→内閣府→文科省」で内閣府の少子化対策キャンペーン・コンセプト「若いうちの妊娠が望ましい事の啓発本」を作る為のデータを有識者に求め、それを内閣府と文科省で高校生の保健体育の科目で使う為に副読本として制作された。

 文科省は学校健康教育課に繋がり、内閣府は担当の名前を教えてもらえませんでした。
このグラフの提出者が解れば、事態の真相に迫れるのではと思い、詳しく問いただしましたが、グラフ提供者の情報はクローズ扱いでした。

 以上の取材結果ですが内閣府と文科省は高校生の保健体育の副読本に「ソースの怪しい」「出所不明」のグラフを使っていた、事になります。グラフの提供者の名前を明かせないというのですから、そのグラフの作成は不明だという事になります。
これは「グラフデータの改ざん」と認識されても仕方ないでしょう。
吉村泰典博士の「女性のからだと卵子の老化」のグラフも17年前からのデータで、情報が古過ぎますし、元々の論文も、妊孕力と年齢の相関関係の研究調査結果のものではない様子です。

 お金をかけてキャンペーンするなら、新しくきちんとしたデータにして欲しいです。
内閣府や文科省は少子化に対して本当に真剣に考えているのでしょうか。
やっつけ仕事は辞めて頂きたい。
もう新しく「日本で」妊娠や出産の年齢リスクの統計調査をしたら如何でしょうか。


 真相は「若いうちの妊娠が望ましい。20代以降は妊娠が難しくなる、妊孕力が下がる」事の啓蒙の為に、データを都合よく書き換えた。と言ったところでしょうか。

 「若い人に科学的に医学的に正しい知識を持って不妊のリスクを減らしてもらいたい」という内閣府と文科省の啓蒙はたしかに正しいのですが、「若くて妊娠してしまうリスク」や「現実的な子育てのリスク」などを平行して啓蒙してもらいたいと思います。

 少子化は「安く安心して子供を預かってくれる所」という保育施設の充実と「地域で子供を守り育てる」という社会の応援があれば、かなり改善されるのではないでしょうか。

 アメリカのように安い労働力の家政婦も雇えず、地域社会のコミュニティー崩壊で子供を気楽に見てもらう事も出来ない。いくら陳情しても保育園は建たない。

 それでも「卵子は老化する!若いうちに妊娠しろ!その方がノーリスクだ!このグラフに書いてある!」はまったくもって、若い女性への妊娠ストレスになり、妊孕力が下がる高齢の女性に対して偏見を増長させるだけです。
このグラフが「産んだ」のは女性へのストレスと偏見だけでしょう。