2014年9月11日、朝日新聞社長の木村伊量氏が午後七時半から記者会見し、朝日新聞のいわゆる「吉田証言の従軍慰安婦捏造記事」と「吉田調書誤報事件」について、謝罪しました。

 午後10時からはテレビ朝日の報道番組「報道ステーション」で、慰安婦報道問題の検証企画が組まれ、約四十分近く有識者らのインタビューを報道しました。

 なかでも、元官房長官の石原信雄氏(87)は慰安婦問題に対し、「当時の戦中資料を調べた。政府は慰安所の運営に深く関わっていた。そういう主旨の文書が出て来た」と軍の関与を認め、軍の統治下で女性を集め、軍の指揮下で慰安婦をトラックで運送した等、慰安婦が当時の軍の管理下におかれていた事を証言。

 さらに石原氏は「軍の統治下で女性が働かされるのは最大の人権侵害」とし、従軍慰安婦問題は「強制だったか」「志願だったか」などの問題ではなく、「戦争被害」として扱い、「女性の人権侵害事件」として考えなくてはならない、としました。

 そして石原氏は「世界中の戦争で常に犠牲になるのは子どもと婦人なんです」と弱者が常に戦争の犠牲になる事を語り、慰安婦問題を総括しました。

 従軍慰安婦問題で今まで論争になって来たのは「従軍慰安婦は非存在」や「強制ではない、公認の売春所だった」などであるが、石原氏はこの問題を「軍の関与があった」「軍の統治下で女性が働かさせられるのは最大の人権侵害」と一刀両断し、済州島において、日本軍が現地女性を慰安婦に強制連行したとの吉田証言は捏造ではあったものの、「従軍慰安婦」は実在し、「強制か」どうかの問題ではなく、軍の統治下で女性を働かせる事が人権侵害で問題なのだ、としました。

 また、慰安婦の強制制について、元外交官の東郷和彦氏は「世界は、強制連行があったかどうかを問うているわけではない。もしあなたの娘が慰安婦という形で戦場に送られたらどう思うかが問われている」「それが世界の趨勢で、慰安婦問題はホロコーストと同様の人道問題で問われている。日本はそれを知っているのか」と、人権団体から問われたと語り、慰安婦という存在そのものが人道的に非難されるものだとインタビューに答えました。


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感想「軍隊が在る所とは男が沢山いる所だから女が沢山必要だ、だから慰安婦があってしかるべきだ、当時はしょうがない」、という考えは(どこかの市長のコメント)女性の尊厳や人権を傷つけているのだと、この番組を見て言える。 強制かどうかが、問題なのではなく、軍の統治下で女性が性の処理係として狩り出される事自体が、慰安所ができる事自体が、女性への最大の人権侵害、戦争被害なのだと番組を見て再確認出来た。

 戦中時の資料も公開して頂きたいし、番組中出て来た慰安婦の生き残りの女性達の直接の証言も聞いて見たかった。慰安婦問題なのに、女性のコメント(櫻井女史は例外として)が全くなかったのは残念です。 そして、まだ当時の慰安婦問題に関与した軍の関係者で生存している人は是非、証言を後世に残して欲しい思いました。


※吉田証言 第二次世界大戦中、韓国の済州島で日本軍によって現地女性が強制的に慰安所に連行されたとする吉田清治氏(故人)の証言。 のちにこれ事実ではなかった事が判明した。
朝日新聞はこの吉田証言に基づき、確認できているものだけでも、16回記事にした。



※吉田調書 朝日新聞が独自入手してスクープした東日本大震災における福島第一原発事故直後の、当時最高責任者だった福島第一原子力発電所所長の吉田昌郎氏(故人)から
2011年に13回28時間に渡って事故収束作業の証言を収録したもの。

朝日はこの文書を「吉田調書」と名付けて公開。

政府は吉田氏が公開を望んでいないとして非公開の方針をとっていた。(吉田氏が東電本店の命令に反して、独自判断で一号機に海水注入を続け最悪の事態を回避した事や逆に廃炉を避ける為に三号機には淡水注入に拘り、危険を増大させて行った事等が生々しく記録されている。)

朝日のスクープを受けて、政府は「吉田調書」の公開を検討する方針。
吉田氏は2013年7月9日、食道がんの為、死去。




吉田調書