須田「私も全身鳥肌が立って、これは絶対書こうと決めていたんです。」 

 これは『文藝春秋』 小保方事件の謎に迫る〜の須田桃子記者と作家宮部みゆきさんとの対談の一部だ。須田記者は何に対してとはしゃいでいるのだろうか。

 2014年8月5日に理研研究所内で自ら命を絶った笹井芳樹(享年52)が小保方晴子・前ユニットリーダーに宛てた遺書の事だ。(以下笹井博士・小保方博士)

 デンマークの童話作家アンデルセンの傑作の一つに「赤い靴」がある。
TPOを無視して赤い靴を履いて出歩き、ついには恩人の看病もせずに舞踏会に出かけたために、呪いを受けて足を切断するまで踊り続けた少女のお話しだ。

 宮部みゆきさんは「絶対にSTAP細胞を成功させて下さい」と笹井博士が小保方博士へ残した言葉、これは「"赤い靴”だ」と指摘し、須田記者がそれに上記のような反応を見せた。

 
 小保方博士は遺書を公開していない。
本人に宛てた遺書が第三者によって公開されて解釈をつけて「絶対書こうと決めていたんです」と書籍化した事になんの躊躇もないようだが、WHOの「自殺を予防する自殺事例報道のあり方」に完全に違反している。

WHOの自殺報道においてジャーナリストがやってはいけないこと。

  • 写真や遺書を公開しない
  • 具体的で詳細な自殺手段を報告しない
  • 単純化した理由付けをしない
  • 自殺を美化したり、扇情的に扱わない
  • 宗教的な固定観念や文化的固定観点を用いない
  • 悪人探しをしない
  • 自殺で残された人にたいして十分な配慮をする。
  • 自殺をセンセーショナルに扱わない。当然の行為のように扱わない。

 (自殺予防 メディア関係者のための手引き 2008年改訂版 より〜一部抜粋)
須田記者の言動に、いくつの違反がみつけられるだろうか。


 須田記者はどこから遺書を手に入れたのだろうか。
その入手経路を想像すると、ぞっとして鳥肌が立つ思いがする。
STAP細胞報道はこのように報道倫理のたがが外れてしまってそれに逡巡すらみせない科学ジャーナリスト達をたくさん見た。