木星通信 @irakusa

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 有志の方にネイチャーの記事を翻訳して頂きました。理研CDB解体には海外の研究者、研究機関から多くの批判が寄せられた。この事は日本ではあまり報道されていない。
また加熱した理研批判、NHKによる小保方博士への執拗な取材等も紹介されている。
岸改革委による検証は聞き取り調査もなく、一方的に笹井博士を断罪したとも指摘されている。
リンク下からが翻訳文です。(名無しさん、翻訳のご苦労と当サイトへの投稿に深く感謝します)


http://www.nature.com/news/collateral-damage-how-one-misconduct-case-brought-a-biology-institute-to-its-knees-1.17427?WT.mc_id=TWT_NatureNews

___コラテラル・ダメージ____

ひとつの不正行為が生物学研究所の権威を地に落とした顛末_

STAP細胞事件の余波は、現在でも日本中でみられる。

 2014年8月5日、藤原裕展は朝から不快な思いを感じながら通勤していた。神戸の理化学研究所(理研)発生・再生科学総合研究センター(当時、現在は多細胞システム形成研究センター、CDB)のチームリーダーだった藤原は、今年初めに不正行為が発覚して以来非難の嵐に耐えてきた。

 報道は週を追うごとにエスカレートし、新聞、ソーシャルメディア、テレビなどがこぞって権威ある研究所の研究員が不正行為に手を染めたことに対して釈明を求めた。藤原は問題の研究には関わっていないが、他の多くの研究員同様非難を浴びているように感じた。


 そして、藤原は研究所に到着するや悲報に接することとなった。CDBの創設メンバーであり問題の研究に関与したとされた笹井芳樹が、その日の朝に隣の建物で首をつって自殺したのである。「ただショックでした」藤原は言う。「何も考える事が出来ず、とても信じられませんでした」

 研究上の不正行為が発覚すれば、必ず付帯的な被害が発生する。当事者の同僚や共同執筆者の名誉が傷つけられ、研究室の閉鎖にもつながる。しかし、CDBの一件は通常よりも強烈で広範囲にわたる影響を及ぼした。

 この事件は、極めて単純な方法で多分化能性幹細胞を作成できるとした、ネイチャーに掲載され注目を集めた2本の論文に関するものである。
多分化能性幹細胞とは、体内のいかなる細胞にもなれる重要な特性をもつ細胞である。
不正行為が明るみに出た後、研究に関わった研究者個人だけでなく理研全体の責任を問う提言書が発表され、理研の解散を提言した。

 それ以降、CDBの研究費はカットされ、研究室の半分が閉鎖、合併もしくは他の組織に所属変更となり、経営陣の入れ替えが行われた。混乱は理研のはるか外にまで及んだ。
政府の科学行政改革が延期され、日本の科学界全体が事件後導入された不正行為を防止するための指針の影響に注目している。


 日本の科学者やジャーナリストは、これを適正な対策と捉えた。華々しく取り上げられた幹細胞実験の結果が虚偽であることが示された以上、思い切った策が必要と考えたからだ。

 しかし、国内外の科学者の中には過剰反応だと捉え、昨年の事件は危機への対処を誤れば問題を大きくすることを示しているとする者も多い。科学者やメディアの反応は、豊富な研究費を有する理研の15にのぼる研究センター等に対して日本科学界で長年抱かれてきた嫉妬の念の表れであり、それだけでもCDBが批判の対象となるには十分だった。

 政府の科学行政関係筋はメディアやソーシャルメディアの苛烈な反応が発端となったこの騒動の沈静化に躍起になった。ネイチャーは記事の中でCDBに十分な釈明の機会が与えられた否かに疑問を投げかける。CDBの将来を決定づけた提言書の作成にあたった委員会は、不正行為が行われた原因を探るための聞き取り調査を関係者に対してはほとんど行っていない。岸輝雄委員長は調査プロセスをこう擁護する。「関係者に話を聞くことで何かがわかると考えているようだが、そんなことはない」


 苛烈な反応によりCDBの現職及び元研究者の研究が妨げられ、長期的には日本の科学革新の推進力を弱体化すると危惧する科学者もいる。「たった2本の論文だったが、徹頭徹尾メディアは事を大きくし続けた」と元がん遺伝学者で現在は科学技術振興機構の科学政策エキスパートである伊藤裕子は言う。「結局、多くの科学者が悪影響を被ることとなった」

__科学者の理想郷___

 理研は1917年に財団法人理化学研究所として東京に設立され、1990年代後半以降次々と研究所・センターを開設し生物科学分野で急速に拡大した。日本では科学者の理想郷と呼ばれ、研究者には学生を教える義務はなく、高い報酬と潤沢な研究費を手にでき助成金に頼る必要もない厚遇を受けた。幹細胞の一件が明るみに出る以前から「理研と大学はうまくいっていなかった」と、元大阪大学の発生生物学者で今年CDBのセンター長に就任した濱田博司は言う。

 その理研の研究センターの中でもCDBは突出していた。日本が科学研究のインフラを活性化しようと試みていた2000年に創設されたCDBは、大学の研究室で常態化していた硬直化した階層構造を撤廃した。研究者もスタッフも、目上の者に対してよく使われる「先生」ではなく「さん」でお互いを呼んだ。2002年のネイチャーのインタビューの中で、笹井はそれまでの日本では考えられなかった「若手の研究者にある程度の自由を与えること」を明言した(2002年、ネイチャー415号、952-953参照)。まもなく若手の主任研究員が研究プログラムを策定するようになった。彼らの中にはまだ20代の者もいた。笹井や初代センター長であった竹市雅俊ほか少数の著名な科学者からなるグループディレクターが研究の指導にあたった。

 このアプローチが奏功するのに時間はかからず、耳目を集める研究結果が発表された。研究室リーダーの斎藤通紀がシャーレでの胚細胞操作で称賛を受け(2013年、ネイチャー500号、392-394参照)、笹井も培地で目と脳の構造を培養する技術の第一人者として知られるようになった(2012年、ネイチャー488号、444-446参照)。研究がなかなか国際的評価を得られない国にあって、CDBは発生生物学の領域において特筆すべき成果をあげ、国際的な評価を得ていった。2013年に同センターの研究員が発表した163本の論文のうち、1/3がネイチャー、サイエンス、セルといった世界有数のジャーナルに掲載されたと発表している

 2014年1月、CDBの研究者が多能性幹細胞に関する2本の論文を発表し、CDBがまたしても大きな成功をおさめたかに見えた。刺激惹起性多能性獲得細胞、いわゆるSTAP細胞の開発は、生化学者小保方晴子がマサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード大学で開始したプロジェクトをCDBで継続したものだった。小保方はマウスのクローン作成の第一人者である若山照彦、幹細胞生物学者丹羽仁史及び笹井といった理研所属の高名な科学者3名と共同で研究を行った。

 この論文が掲載されるや日本では大きな反響が巻き起こった。関連分野で、2012年に京都大学の山中伸弥が人工多能性幹(iPS)細胞を作成する研究によりノーベル賞を受賞して以来、多能性は日常的に聞かれる言葉となっていた。また、メディアは、白衣の代わりに割烹着――祖母から贈られた伝統的なエプロンのようなもの――を着用しピンクと黄色の壁の研究室で働く、若くやや風変わりな小保方を盛んに取りあげた。小保方は今までの日本の科学者とはまったく異なる存在だった。

 しかし、論文が発表されて何週間もしないうちに、研究はほころびを見せ始めた。サイエンスのブログは数値が改ざんされていると指摘し、科学者たちが実験結果を再現することが出来なかった事を示した。(go.nature.com/h9tr5wを参照)。そして理研の委員会の調査で不正を示唆するものが発見された。

 4月1日には、理研の役員が4、5時間に及ぶ長時間の記者会見に応じ、小保方の不正を公式に認め論文の撤回を提案した。論文はのちに取り下げられた。委員会の提言書は笹井と若山は不正には関与していないものの、問題のあるデータを看過した「重大な責任」があるとした。丹羽は一切関与していないとされた。


 この時点で日本の典型的な研究機関における不祥事――過去15年の間には大スキャンダルとなった事件が何件もあった――は終息した。通常、不正に関与したとされる研究者は辞職し、論文は撤回される。東京大学の分子生物学者加藤茂明が辞職し2012年から2014年に発表した複数の論文を撤回したのが一例である。このケースでは、影響を受けたのは加藤の研究室のメンバーにとどまった。

 しかしSTAP細胞に関しては、メディアが追及の手をゆるめることはなかった。

報道陣がCDBのロビーに張り付き、文部科学省に大挙して、情報をとろうと試みた。レポーターは小保方や笹井を始めとするCDBの研究員ほかの職員を追いまわした。(NHKは小保方が記者と接触した際に負傷したとして謝罪している。)


 ニュースやツイッター、ブログなどが一斉にCDBと理研全体の非を言いたてた。
評論家は不正調査が結論を急いで、問題の根幹に触れることがなかったと非難した。
また、理研とSTAP研究にかかわった研究者が申請した特許もやり玉にあがった。学究界では通例であるが、世間は理研と研究者が営利目的で動いていると捉えた。

 東北大学の発生生物学者であり、STAP騒動の際に理研批判の急先鋒のひとりであった大隅典子は、理研そのものが「過剰にメディアの関心をあおった」とし、それは「生命科学領域における研究の商業化、産業化の産物」だとした。金銭的価値とメディアからの注目を重視したことが、CDBの上級研究員が全面的にSTAP研究を支援し、チェックを甘くして脆弱な研究を続けさせた要因だと見る者は大隅以外にも多い。


 小保方の研究と無関係のCDBの若手研究者は自分たちの評価にも悪影響が及ぶ可能性を危惧している。「最初は境界線がはっきりしないと思っていたが、境界線などなかった」2013年にニュージャージー州プリンストン大学からCDBに来たユーチュン・ワンはこう述べた。「私たちは同じ穴のむじなとみなされた」CDBの研究者、技術スタッフほかの職員はネットでの中傷にさらされたとCDBの神経生物学者今井猛は言う。「私自身も私の研究室のメンバーやその他の同僚も、状況は同じだった」理研の他のセンターの研究者も例外ではなかった。

____嵐が静まる時____

 メディアに煽られた騒動は、特定の研究機関に先例のない裁量権を与えようとしていた文部科学省にとっても頭痛の種だった。理研が最初の適用機関となるはずだったからである。文部科学省は「不正問題を早期に収拾しおうとした」と理研の元理事川合眞紀は言う。思い切った策をとることが「納税者の声、すなわちメディアへの対応としてより妥当だと考えたのだろう」

 小保方の不正が告発された直後の2014年4月9日、理研は外部の「改革委員会」を設置し、様々な組織で管理職を歴任してきた75歳の材料科学者である岸を委員長に任命した。6月12日に、岸の委員会は、研究の公正性の向上、不正防止の新しい仕組み、STAP論文のより徹底的な検証などの8つの提言を発表した。中でも目をひいたのはCDBの「解体」だった。「岸委員会の提言書は驚くべきものだった」前年にCDBに加わった発生生物学者平谷伊智朗はこう述べた。

 岸委員会の主な任務は不正行為の防止策の提案だったが、提言書の半分はSTAP問題の解明に費やされていた。提言書は「組織としてのCDBに不正を誘発する、もしくは阻止できない構造的な欠陥があるため」CDBは解体されるべきとした。主な問題のひとつが経営陣の硬直化だった。創設以来グループディレクターの顔ぶれはほぼ変わっていない。提言書によれば、そのため経営陣は無意識になれあいの状態になっており、「お互いの決定内容を公正に精査する」ことがなくなっていた。

 竹市は、組織も自身もこの問題が発生する以前から改革が後手にまわっていることを認識していたと述べた。3年ほど前からCDBは海外からディレクターを招聘し、組織に新しい風を入れ国際的なステータスを上げるべく動いてきたが、適任の人材を獲得できずにいた。しかし、武市の指導力はSTAP問題以前には疑問視されておらず、2011年には理研の諮問委員会が竹市の退任に反対した。

 岸委員会の提言書は、CDBのガバナンス能力の低さが問題につながったとする。CDBが通常手続きを迂回して小保方を採用した責任を指摘し、根拠を「推測」した。山中のiPS細胞発見を越える「画期的な研究を手中に収めることにCDBは躍起になった」。提言書はまた、笹井が「CDBに巨額の予算がつくことを期待し関与していたと見るのが自然だ」と「考えた」。さらに、小保方が割烹着を着用したのも笹井の発案による「注目を集めるためのPR戦略だった」とする。

 提言書を受けて、理研はただちに委員会を招集し提言の実行にあたった。「メディアが理研に厳しい目を向けるなかでは、受け入れるしかなかった」文部科学省の職員は匿名を条件にネイチャーに語った。しかし、武市と笹井は提言書に書かれたいくつもの点に対して反論した。竹市は小保方の採用プロセスは通常通りだとした。また、自身と笹井にiPS細胞の発見を越えたいとの意図はなかったとし、他のCDB研究者もその方面のプレッシャーはなかったと言う。

 笹井のCDBの副センター長としての職務の一部は組織をまとめ研究費を調達することであったが、彼は非常に優れた成果をあげていた。しかし、2014年6月にネイチャーのニュースチームに送ったメールで、資金獲得の可能性のためにSTAP研究に関与した事実はないと主張した。笹井、竹市及び理研広報室は小保方に割烹着を着て振る舞うようになどの着衣の指導をしたこともないとしている。


 2月にネイチャーのインタビューで、岸は委員会の提言書を支持しながらも純然たる事実でない点も含まれているとした。「提言書には推測や推察も記されているが、確度の高いものである」と岸は述べた。根拠としたのは、長時間にわたり中継された記者会見だった。

 岸は提言書を作成するにあたって、委員会が武市のみの証言に基づいており、小保方、笹井を始めとする他のCDBの研究者には聞き取りをしていないことを明かし、他の委員会メンバーもこれに同意した。岸は理研が委員会に笹井と接触させようとしなかったと語る。

 しかし、岸は「記者会見の中継を見れば、それ以上訊くことはないのがわかった。笹井は話すべきことは話しており、接触しても変わらないと思った」と言う。続けて、岸は笹井に対する驚くほど厳しい意見を口にした。「聞き取りをしても、真実を語ることはなかっただろう」これは笹井をよく知る者が、氏を誠実で心の広い人物であり、科学的探究にうちこむ研究者だったとする意見とは大きく異なる。


 委員会メンバーであり研究倫理の専門家で科学史にも詳しい大阪大学の中村従樹もまた、提言書を支持する。推測・推定を含むことは、法廷で検察が被告の動機を推定するのと変わらないというのがその理由だ。岸委員会の他の4人のメンバーからは回答が得られなかった(回答拒否との返信を含む)。

 研究倫理の専門家であるミシガン大学アンアーバー校のニコラス・シュテネックは、私見としながらも、不正行為に関しては「事実や直接的な情報に基づかない推測をするのは感心できない」とする。しかし、シュテネックは科学者の間でそういった推定は驚くほど日常化しているともする。「歴史や現在の事件の報告は科学実験と同様に扱われるべきだろう」


 岸の提言書が発表されると、海外の科学者の多くは結論がいき過ぎであり恣意的であると考え、CDBには支持を表明する150を越える書状が届いた。しかし、日本ではおおむね批判されることなく受け入れられた。日本学術会議などの科学機関は判断を全面的に支持した。

 CDBの研究者を最も意気消沈させたのは、科学界が無関心や批判的な立場を示したことだった。そのいくぶんかは、長年積み重なった理研とCDBに対する不満の表れだと考えられる。「新聞ほかのメディアはニュースを見てもらおうとしているのだから、ある意味仕方がない」平谷は言う。「しかし、科学者からのサポートがほとんどなかったのはショックであり残念だった」


 笹井にとっては特に影響が大きかった。笹井との共同研究を多く手がけたCDBの幹細胞生物学者六車恵子は、6月までは「何とかやっていた」と言う。その時点で共同論文を1本提出したばかりだった。「科学の面では、失った名誉を挽回することは可能だと考えていたようだ。しかし、若手の研究者に影響の大きい解体や予算削減など自分の力の及ばない点では、罪の意識と責任を感じていた」と六車は述べた。笹井の遺族の弁護士は、「岸の提言書と執拗なメディアが笹井を自殺に追い込んだ」としている。岸と中村は笹井の自殺の原因はわからないと反論した。

 8月にCDBは岸の提言書に沿った改革を始めた。理研は新しい不正防止策を導入しガバナンスを強化する計画を発表した。

 数か月後の11月に竹市が退任し暫定のセンター長が就任した。CDBの40あった研究室のうち9が他の理研のセンターに所属変更となり、11が合併または閉鎖した。またCDBは日本語名称を「多細胞システム形成研究センター」に変更したが、英語名称は従来のまま残した。12月に自身の実験を再現できなかったと発表した後、小保方も辞職した。

 改革は現在も継続している。今年の4月1日には、濱田がセンター長に就任し、CDBの予算が40%削減された。研究者は研究費を助成金で賄おうと懸命になっている。

____影響を評価する____

 過去2ヶ月間のインタビューを見ると、岸と中村がCDBへの見方を軟化させているのがわかる。中村は竹市率いる経営陣を「他の大学や研究機関と比較すれば非常に優秀だった」と見る。「研究倫理や教育に関する問題を指摘した」が、CDBは「比較的進んだ組織だった」と中村は言う。

 解体という言葉はメディア対策として戦略的に使われており、CDBを終わらせるという意味ではないと、岸と中村は述べた。中村によれば「理研がこの問題に真剣に取り組んでいることを示す、社会へのアピール」だった。両者とも、新経営陣の下新たな名前でCDBが息を吹きかえすことを望んでいる。岸の望みは「新生CDB」であり、組織の再構築はこの目的にふさわしいと考えている。「何も大きく変わってはいない」岸は言う。

 しかし、現場の人間にはそうは見えていない。濱田ほかのCDBの研究者は、評判が地に落ちたCDBに新たな主任研究員や博士課程修了後の研究者を招聘できるか危機感を募らせる。CDBは、笹井、そして今年熊本大学に移る丹羽という卓越した研究者を2人失った。藤原は残留するが研究は痛手を受けると考えている。CDBからの研究費が確約されていた時期には、毛包の細胞外基質内でタンパク質をマッピングするプロジェクトを5か年計画で考えていた。現在では、毎年助成金を確保しなければならず、プロジェクトのゆく手には暗雲がたちこめている。

 STAP問題の影響はさらに広い方面にも及ぶ。8月以降、文部科学省、厚生労働省ほかの団体が研究上の不正行為の防止と対処に関する方針を発表した。その一部として、データ管理のルールを厳正化し、データチェックの頻度をあげしっかりした検証を受けることが求められるようになった。このルールにより研究が役所仕事的になるのではという懸念が広がり、研究者はいらだちを隠さない。「私たちのシステムは非常に優秀だが、今ではあれこれチェックをしなければならない」と川合は言う。「研究者の時間をそんなことに割きたくはない」

 文部科学省の新たなガイドラインは、研究機関が不正行為防止の責任を負い、適切な防止策を講じない場合には助成金をカットするとしている。今井は、研究機関や研究者を不正行為の疑いのあるものを隠蔽する方向に向けかねないとして、逆効果だと訴える。

 STAP問題には、これ以上に表面化しにくいものの科学界に広く影響を与えかねない側面があると伊藤は言う。これまで日本の若手研究者は指導員とは異なる方針で実験を行うことができ、彼らのひらめきが道を切り開いたことも少なくなかった。しかし、不正とみなされることへの懸念から内部監査が厳しくなり研究ノートもチェックされるようになる。「若手はのびのびと実験できなくなる恐れがある。イノベーティブな力を発揮できなくなり、モチベーションも下がるだろう」と伊藤は言う。「将来に対する最も大きな影響はそれです」伊藤はこれを皮肉なことだと言う。若手の研究者を後押しすることを目的に設立されたCDBで起きた事件が、若手を委縮させる原因になっている。

 シュテネックはSTAP問題の対処に最善の策が講じられたか否かを検証することの有用性を訴える。彼は問題が明るみに出た際の理研の対処は適切だったとする。「早期に正面から問題に向きあい、外部の意見を取り入れた」しかし、研究者がほとんどを占める岸委員会の設置に対しては疑問があると言う。不正行為の調査は行動科学研究の専門家や研究機関が主導すべきだったと考える。「専門家を揃えていない委員会が独自に証拠を収集しても意味がない」


 オーストラリアのメルボルン大学で研究倫理及び公正性オフィスの室長を務めるポール・テイラーは、米国の研究公正局の日本版的調査組織が設置されれば、と述べる。「調査実施に必要な専門知識を備えた独立性の高いチームとなり、研究に対する信頼を維持できたかもしれない」テイラーはまた、日本がデータ管理と研究倫理に関するトレーニングの強化を定めたことについては、将来的に研究の不正行為を防止に有用である可能性を認めながらも、限界もあるとする。「画像の改ざんや他人の研究の盗用を正当化できる人間は、研究倫理に関していかなる策が講じてあっても不正行為に手を染めるだろう」


 濱田はCDBがいつまでも今回の件にひきずられることはないと楽観視する。3年以内に研究費を元のレベルに戻すよう文部科学省と交渉し、将来性のある若い研究者をバックアップするCDBのミッションを継続することに意欲を見せる。「組織改革をし、新しい風を入れる必要がある。」濱田は言う。「私の仕事は過去にとらわれないことです」

 藤原にとって、それは容易なことではない。良い実験データが取れ始めたところだった。しかし、現段階では論文を発表するために必要なマウスでの実験費用の獲得が困難になる可能性に危機感を覚えている。「私たちにとって重要な一年になるはずだった」彼は言う。今は、自分の研究を続けられることを願うのみだ。
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ネイチャー査読コメントを、
フォトショップで取り込み、明度を上げて見ました。
後から書き足したか、切り貼りした所の文字色が濃く出ます。
その1原本濃度。
01
↓明度をぎりぎりまで上げる。

01-2


その2


02

明度を上げる

02-2

2013年の所を弄ってるように見えますがw

フォトショップをお持ちの方はこちらから、同じ解析をしてみて下さい。
同じ結果が得られるはずです。

http://news.sciencemag.org/sites/default/files/NATURE%20REVIEWS.pdf


出所の解らない流出データ、怪文書はまず、日付、数値なのど改ざんがないかどうか、精査して
読み込むのが記者の基本だと思いますが、素直に読んで拡散している人達はもしかしたら
確信犯ですか?
 


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